近代木橋の課題と今後の展望
地球温暖化と木橋
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木橋が選択される理由ずけ

環境との共生  暑い夏、木橋に鳥やトンボが寄ってきても、鉄やコンクリートの橋に生物は近づきません。このことが象徴するように、木橋は鉄やコンクリートを多用した橋と比べて、自然と調和し、環境に与える負荷が少ないのです。木橋の主要な素材である木材は樹木の太陽と空気中のCO2を同化させる働き(炭酸同化作用)によって形成されます。木材は、そのものが地球温暖化の原因となっているCO2を固定化したもの、もっともエコロジーな材料なのです。長期間使用することは、その固定を維持し続けることですから、地球温暖化防止に役立つことになります。また、解体に際して木材は再利用も可能ですので、循環型資材と位置づけられています。これに比べて、鉄やコンクリートの資材は、その製造過程において大量のエネルギーを必要とし廃棄時に多大な環境負荷を与えます。
優れたデザイン性  近代木橋には、桁橋、床板橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊り橋、斜張橋、吊り床板橋などの構造形式があります。そのどれもが木橋ならではの美しいフォルムを創り出します。近代木橋は、他の素材にはないデザインの自由性があり、自然な質感と温もりがあります。したがって地域や建設地の景観にふさわしいモニュメントを創り出すことができます。わが国にも錦帯橋(岩国市)、猿橋(大月市)、祖谷のかづら橋などの歴史的な美しい橋が残されていますが、海外にも名橋とされる木橋が多く存在します。今後数多くの佳橋が近代木橋によって建設される可能性があります。
軽量で強靱  近代木橋の構造的特徴は、「軽くて強い」ということです。これは、工業化された木材である構造用集成木材を主要構造部、床板に使用することにより生まれるメリットです。橋の上部構造が軽量で要求される強度、安全性、耐久性を実現できることは、下部構造の基礎などに余裕を産み、総工費の軽減に寄与します。
工学的信頼性  勘と経験によって造られてきた歴史的な木橋と比べて、近代木橋は、工業化された構造用集成木材などを使用することにより、工学的な構造計算に基づいて設計、建設されます。木材と木材、木材と鉄・コンクリートの接合部には、近年に開発された先進の技術が用いられています。近代木橋は、木材という自然素材を使いながら、土木建設工学に基づいた安全性、耐震性、耐久性を実現しています。
地域公益性への貢献

 現在、多くの近代木橋が建設現地周辺の木材を活用して建設されています。その理由は、ほとんどの橋が地方自治体により建設されることから、地域公益性への貢献、地域への経済的波及効果が検討されるからです。人工林が大半を占めるわが国の森林は、伐採して活用し、その後に植林して持続可能な森林経営をはかることが最適とされます。また、エネルギー消費の面からも地域の森林から出た木材は地域で使われるべきであるという思想も背景にあります。地域の森林資源を循環型資源として活用することは、水土保全などの森林の公益的機能に寄与するばかりでなく、山村で働く労働者、地域の木材産業の雇用確保にも繋がっています。